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欧州強豪国は五輪サッカーをどう報じたか。スペイン「失敗」、ドイツは希薄 (4ページ目)

  • photo by JMPA

 プロポーズをなぜ第2戦の終了後という中途半端な時期に行なったのか、不思議に思ったものだが、第3戦はコートジボワールに引き分けてグループリーグでの敗退が決まったため、結果的にはベストタイミングだったということになる。

 ドイツ選手団全体を見渡すと、男子テニスのアレクサンダー・ズベレフの優勝や、女子走り幅跳びのマライカ・ミハンボの金メダルなど、華々しいシーンも多くあった。とはいえ、金10銀11銅16、合計37個のメダル獲得は、東西ドイツ統一以来、最低の記録となった。

 また今回、ドイツは大会中に頭の痛い問題を抱えてしまった。

 ひとつは自転車男子ロードレースで、コーチを務めるドイツ自転車連盟のスポーツディレクター、パトリック・モスターが、ドイツのニキアス・アルントの前を走るアルジェリアとエリトリアの選手を指して「あのラクダ乗りを追い越せ」と差別的な言葉を叫んだこと。モスターはただちにドイツ自転車連盟により帰国を命じられ、さらに年内資格停止、無期限の国際大会からの排除などの処分を受けた。

 もうひとつは、大会終盤に行なわれた女子近代五種の馬術での動物虐待問題だ。近代五種の馬術では、選手は抽選で選ばれた馬に騎乗するのだが、アニカ・シュロイの騎乗したセントボーイが暴れて制御不能に陥った。すると、近くにいたキム・レイズナー監督が馬の臀部を叩いたのだ。この模様はテレビで中継されており、すぐさまSNSで大騒ぎに。レイズナー氏は国際近代五種連合から資格を剥奪され、五輪を追われた。

 また、スポーツの枠を超えて大きく報道されたのは、女子陸上200メートルに出場予定だったベラルーシのクリスティーナ・ティマノフスカヤのポーランド亡命。現在、欧州ではベラルーシ情勢が大きな話題になっており、注目のトピックとなった。

 開催地である東京の雰囲気について、前述のゴットロブ氏は「パンデミックのために開催国の人々が大会を祝えなかったのは残念なことでした。いつもは感じられる街の高揚感や喜びのムードはなく、温かい出会いも少なかった。むしろ、五輪のゲストは基本的に歓迎されていないのではないかという不安感のほうが強かった。日本は大会を受け入れざるを得なかったが、無事に実現してよかったと思います」と、話している。

 コロナ禍にもかかわらず、開催できたことは喜ばしいが、手放しで100点満点だったとは誰も言わない。そんな複雑な大会だった。

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