欧州強豪国は五輪サッカーをどう報じたか。スペイン「失敗」、ドイツは希薄 (3ページ目)
ちなみにサッカーは決勝でブラジルに延長の末に0-1で敗れ、銀メダルに終わった。ユーロ2020を戦った6選手を引き連れての銀メダルは、失敗も同然。「金を失ったのではない、銀を得たのだ」というルイス・デ・ラ・プエンテ監督のコメントはあまりにむなしく、『アス』は小さな記事で「銀と失望」と報じている。
そして五輪閉会式の日は、メッシが退団会見を行なったことで、各紙は再びそれ一色に染まるのだった。
最大の話題は試合後の公開プロポーズだった
了戒美子(ドイツ):ライター
開幕前はドイツであまりにも話題にならず、少々不安にさえなったが、始まってみればそれなりの盛り上がりを見せた東京五輪。今回、ドイツでは視聴環境が充実しており、公共放送ARDとZDFが共同で約140時間の地上波の放送と、約1500時間のインターネット放送を行なったことで、多くの競技を無料で見ることができた。また、ドイツと関係のない、たとえば日本の試合なども、有料のEUROSPORTSのサブスクリプションサービスで視聴することができた。
ARDの五輪放送マネージャー、ゲルト・ゴットロブ氏は自社サイトでの大会を振り返るインタビューで、「視聴者の関心が高かった競技は?」と聞かれ「五輪のクレイジーで美しいところは、人々が何にでも興味を持つことにあります。例えば、(あまり知られていない競技である)アーチェリーと(メジャー競技である)サッカーが、視聴率30パーセントでほとんど肩を並べているんです」と答えている。
男子サッカーでは、ブンデスリーガの強豪チームが招集に協力しなかったため、22人の登録メンバーを集められず、18人プラス横浜FCのGKスベンド・ブローダーセンで編成。シュテファン・クンツ監督が「いくつかのビッグクラブが支援をしてくれなかった」とクラブ批判を展開したことが話題に上った。
しかし、大会が始まると、あっという間にグループリーグで敗退したため、五輪競技としての存在感は薄かった。
そんななかで、ウニオン・ベルリン所属のマックス・クルーゼが、ドイツが勝利した第2戦サウジアラビア戦後、フラッシュインタビューを通じて公開プロポーズを"敢行"し、一躍注目の的に。もともと五輪報道に熱心な高級紙だけでなく、『ビルト』紙や『キッカー』誌という大衆紙、スポーツ紙も大きく扱っていた。
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