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照ノ富士の「綱取り」は? 錣山親方が名古屋場所の見どころを徹底解説 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 古傷のヒザの調子は決して万全ではないのでしょうが、そんな状態にあっても、小手投げなどほとんど打たず、どっしりと構えた相撲ができているのは大きいです。強引な相撲は完全に影を潜めています。このまま、今の安定感を維持していってほしいと思います。

 ケガや内臓疾患などで番付を下げて、苦悩の日々を送ってきた照ノ富士。どん底から復活を果たすまでの過程で、"我慢する"という強さを身につけたのでしょう。とにかく、他の力士とは地力が違います。今場所ももちろん、優勝候補ナンバーワンと言えます。

 一方、連続休場から土俵復帰した横綱・白鵬は、「進退をかける」場所となっています。途中休場したふた場所前の春場所後、ヒザの手術を敢行。力士との稽古ができたのはここ最近だと聞いていたので、実戦となるとキツいかな、と思っていました。

 実際、序盤戦はそれこそ薄氷を踏むような相撲となっていますが、なんとか勝ち星に結びつけています。さすが横綱、といったところでしょうか。

 ようやく出場にこぎつけた白鵬に、いきなり優勝を望むのは酷なことかもしれません。とはいえ、それなりの成績を挙げて、次につなげてほしい。横綱土俵入りを見られないのは、ファンの方々も寂しいでしょうからね......。

 さて、先場所、前頭5枚目で初めて上位対戦を果たした豊昇龍(前頭5枚目)が、今場所も元気な姿を見せています。先場所では2日連続で大関・朝乃山、正代と対戦し、いずれも鮮やかな足技で仕留めました。持ち味である体の柔らかさの賜物でしょう。

 豊昇龍と言えば、68代横綱・朝青龍の甥としても知られていますが、確かに大関に勝った時に見せた笑顔は茶目っ気たっぷりで、叔父さんにそっくりでした。ただ、叔父さんと比べると、現状は迫力に欠けるかもしれません。力強さという点でも、まだまだと言えます。

 それでも、負けん気は強そう。今後が楽しみです。

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