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北海道銀行、復活Vの裏側。北京を目指してロコ・ソラーレと再戦へ (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • photo by(C)JCA IDE

 新たなチャレンジの効果はワールドツアーで出始める。2018-2019シーズンのカナダ・欧州遠征では、「チーム吉村」として精力的にツアーに参戦。初優勝を含めて、出場した11大会すべてでクオリファイ(プレーオフ進出)を決めた。

 さらに翌2019-2020シーズンには、戦術的な支援を求めてカナダの現役トッププレーヤー、コナー・ネゴヴァンともコンペティションコーチとして契約。ワールドツアーのランキングは右肩上がりとなって、上位チームだけが参加できるグランドスラムにも出場し、そのひとつである『マスターズ』では、日本カーリング史上初のグランドスラムファイナリストとなった。

 ただその一方で、日本選手権では2019年、2020年と2大会連続で3位に終わった。そこで、松井トレーナーは「海外で勝てるようになっても、国内で結果が出ないのはメンタルが問題なのではないか」と考え、チームと相談して、今季から北海道日本ハムファイターズや横浜DeNaベイスターズで指導経験のある白井一幸氏をメンタルコーチとして迎えた。

 打てる手はすべて打って臨んだ今大会。特にメンタル的な成長という点においては、ロコ・ソラーレとの決勝で顕著に見て取れた。

 例えば、4エンドにはタッチストーンで好ショットが無効になるハプニングがあり、6エンドでは相手スキップ・藤澤のラストストーンが意図したものではない形でガードストーンに当たって、相手の得点につながるアンラッキーがあった。

 頂点にはまだ届かないのか――不安や諦めの気持ちが頭をかすめてもおかしくないトラブルやハードラックだったが、氷上の選手たちは「いいことも悪いことも、その結果を受け入れよう」という白井コーチの言葉を思い出し、我慢強く目の前のショットやスイープに集中した。

 その結果、北海道銀行はカーリングの面白さが詰まったクロスゲームを制した。

 2点を獲得して逆転した最終10エンドでも、すべてが完璧なショットだったわけではない。だが、「今できること」に対して最善を尽くした。それが、結果につながった。

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