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北海道銀行、復活Vの裏側。北京を目指してロコ・ソラーレと再戦へ (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • photo by(C)JCA IDE

 それでも、選手とチームは常に勝利を求めて模索していた。"足掻いていた"と言ってもいいかもしれない。

 2018-2019シーズンを迎えて、チームの柱であった小笠原歩が選手として第一線を退くことを発表。以降はスキップを吉村に固定し、彼女を中心とした戦いにシフトした。また、チームに帯同する松井浩二トレーナーの提案で、同時期からスプリントに特化した仁井有介フィジカルコーチの指導を受けて陸上トレーニングの量を増やしていった。

「ほぼ全員が、これまでカーリングの動きしかしてこなかったんです。それを突き詰めても、ひょっとしたらもう伸びないかもしれない。そんな思いもあって、違う競技のトレーニングを取り入れることで、筋肉はもちろん、神経や関節なども含めて、自分の身体をコントロールする意識を持ってほしかった」(松井トレーナー)

 陸上トレーニングにはそんな狙いもあったが、リスクもゼロではなかった。ハードな練習によって、カーリング選手の生命線である膝や腰、股関節などを痛める可能性もあった。ゆえに、その予防も考慮して、バレエダンサーの赤川詩織コーチに師事し、バレエストレッチにも並行して取り組んだ。

「(バレエストレッチによって)可動域が広がるから、これまでのフォームが崩れて、もしかすると一旦、ショットが不安定になるかもしれないよ」

 松井トレーナーは、選手たちにそう伝えていた。そもそも、それら他競技のトレーニングがカーリングの向上に役立つかどうかは未知数でもあったからだ。

 その分、選手たちにも迷いはあった。しかし、松井トレーナーの提案を受け入れて、選手たちはそれらのことに真摯に取り組んだ。

 ちょうどその頃、セカンドの近江谷杏菜がこんなことを口にしていた。

「今のままでは難しいかもしれない。変化を恐れずに進まなくては......。できることは何でもトライしたい」

 これまで積み重ねてきたものを失うリスクよりも、現状を打破すること、さらには勝利や強化への欲求のほうが、選手たちの中では大きかったのだろう。

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