再び激戦が予想される11月場所。錣山親方が気になる若手力士とは? (3ページ目)
若隆景は、荒汐部屋の「大波三兄弟」(長兄・若隆元=幕下、次兄・若元春=十両)の三男としても知られていますが、お父さん(若信夫=幕下)、お祖父さん(若葉山=小結)も力士という相撲一家。三兄弟、父親が力士という点では、私と似た境遇にあって、これまでも注目していました。
1年前の九州場所で新入幕を果たしますが、その場所で足首を骨折。途中休場を強いられ、すぐさま十両へ陥落してしまいます。しかし、休場中に細かった体を大きくして、改めて十両で奮闘。7月場所で再入幕を果たし、一気にブレイクしました。
体が大きくなったとはいえ、身長180cm、体重129kgと、力士の中ではまだ小柄な部類。それでも、相撲がしぶとくて、力も強いのが魅力です。
「お祖父さんの地位を越えるのが目標」という若隆景。その夢は、もう目前に迫っています。先場所、新入幕で優勝争いに加わった翔猿のように、ガッツがあって面白い相撲を取ってほしいと思っています。土俵上をかき回し、上位勢を脅かす存在として、大いに期待しています。
こうして11月場所が盛り上がっているのも、国技館に足を運んでくださるお客さまのおかげです。また、外出制限にある我々のことを思って、部屋に差し入れを送ってくださるなど、ファンの方々にはいろいろな形で応援をしていただき、感謝に堪えません。
そうした後押しに応えるように、力士たちも精一杯の相撲を取っています。これからも白熱した戦いを披露して、ファンのみなさんに恩返しできればと思っています。
photo by Kai Keijiro錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。
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