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上村彩子アナが聞くのが怖かった
13秒の真実「このタイミングで?」 (4ページ目)

  • sportiva●文 text by sportiva
  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

―― 取材していて大変なことやつらいことは多々あると思います。その一方で楽しいことやうれしいこともあると思うのですが、どういうところが今のお仕事で楽しいですか。

上村 感動的な瞬間に立ち会えるのは、このお仕事の醍醐味ではありますね。テレビでも感動はできますけど、やっぱり生でというのは特別です。しかも、活躍した選手が、自分が取材して応援している人だったらなおさらそう思います。その熱を視聴者に届けて、視聴者から「このインタビューがよかった」とか「おかげでもっと楽しめた」とかそういう言葉をいただくと、さらにうれしいです。

―― 実際に現場にいて、感動したときを教えてください。

上村 自分が陸上をやっていたのもあって、2年前の世界陸上ロンドン大会の「男子4×100mリレー」ですね。そもそも入社したときからいつか関われたらいいなと思っていて、初めて行けた世界陸上でしたし。日本のリレーが世陸でメダルを取ったのはそれが初めてだったんですよね。その瞬間はやっぱり鳥肌が立ちました。アナウンサー同士でもみんなで盛り上がりましたね。

―― 取材で印象に残っている選手も教えてください。

上村 少し前ですが、久保建英選手にお会いしました。A代表に初めて選ばれて、合流するために新幹線で名古屋に向かう直前で時間があまりなかったんですが、これから未来ある久保選手にこのタイミングで話を聞けたのは、うれしかったですね。

―― 「スポーツは世界を一つにする力がある」というのが番組のテーマです。このテーマを実感したのは、どんなときですか。

上村 平昌オリンピックを現地で取材していた際に、女子スピードスケートの500mで日本の小平奈緒選手が金メダルをとった後の出来事を見たときです。小平選手が、地元で3連覇のプレッシャーのかかったイ・サンファ選手が泣き崩れているところに駆け寄ってねぎらい、肩を抱きかかえて一緒にリンクを滑っているふたりの姿があって。日韓のスポーツの戦いって宿命のライバルのように煽られがちですが、国を超えてお互いの健闘をたたえ合う場面を目に焼けつけることができました。

―― 『S★1』の魅力を教えてください。

上村 『S★1』ファミリーの松田丈志さん、高橋尚子さんも、みんな現場主義というか。それぞれがちゃんと取材して感じたことをスタジオで伝えるという、その熱量は特徴としてあるのかなと思います。私も伊藤隆佑アナも土日両方取材に行き、現場に足しげく通うというのは意識してやっています。

―― スタッフの皆さんも含めてそういう意図を持ってやっているんですね。

上村 そうですね。あと、他の局よりも放送時間が少し遅めということもあって、スポーツ好きなコアな人にもちゃんと満足してもらえる内容にしようというのも、全員が共通認識として持っています。独自取材を届けたり、他のところとはちょっと違う角度から取材してみたり。八村選手のドラフトのときも、ただ「ワシントン・ウィザーズに指名されました」と伝えるんじゃなくて、ではウィザーズはどんなチームなのかとか、現地の記者の反応だったり、町の人の反応だったりというのをもっと深く届けたいということになって、私が取材に行きました。そうやって番組独自のものを、というのはつねに意識して作っています。

(つづく)

Profile
かみむら・さえこ
92年10月4日生まれ。千葉県出身
趣味:海外旅行。読書
得意なスポーツ:陸上。バスケットボール
好きな色:紺、白。好きな食べ物:エスニック料理

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