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視聴率50%超で大騒ぎ。
ツール・ド・フランスに大統領も駆けつけた

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by A.S.O.

 7月6日に隣国ベルギーのブリュッセルで開幕した「第106回ツール・ド・フランス」が思いもよらぬ展開で、フランスでは大騒ぎになっている。

 前年の覇者ゲラント・トーマス(イギリス)と若手期待のエガン・ベルナル(コロンビア)のダブルエースで優勝確実と思われていたチーム・イネオスが苦戦。23日間の大会は16日間を終えて、なんと地元フランスのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が首位を独走しているのだ。

山岳ステージでデッドヒートを繰り返すトップ集団山岳ステージでデッドヒートを繰り返すトップ集団 フランス選手が34年ぶりに総合優勝する可能性も見え、テレビは連日50%超の高視聴率。沿道に詰めかけるファンも、日増しに熱狂度が高まっている。

 23日間、総距離約3600kmにおよぶ世界最大の自転車レースは、国際規定で定められた2度目の休息日を7月22日に南仏ニームで迎え、いよいよ最後の6区間を残すのみとなった。総合優勝をかけての熾烈なバトルの模様と、レース終盤に向けての展望を現地フランスから紹介したい。

 今年は絶対的な王者が不在なことから、チーム・イネオス勢が強いことはわかってはいた。ところが、フランス勢の善戦が際立ちはじめると、地元ファンが色めき立っていった。第3ステージでアラフィリップが独走勝利したことで初めて首位に立ち、黄色いリーダージャージ「マイヨ・ジョーヌ」を獲得。第6ステージで一度はその手から離れたものの、わずか2日後に奪い返した。

 最終日のパリ・シャンゼリゼで、このジャージに袖を通した者が総合優勝者となる。身にまとった者に不思議なパワーを与える――という黄金のジャージ。それは「マイヨ・ジョーヌ・マジック」とも言われ、選ばれし勇者に信じられないパワーを発揮させる。

 第13ステージ、大会唯一の個人タイムトライアルで、アラフィリップはそのパワーを見せつけた。

 マイヨ・ジョーヌを着るアラフィリップは、総合1位として最後に出走。すると、それまでにゴールしたすべての選手の記録を上回り、なんとトップタイムで優勝したのである。

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