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視聴率50%超で大騒ぎ。
ツール・ド・フランスに大統領も駆けつけた (3ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by A.S.O.

「優勝候補(トーマス)が遅れたのを見たときは興奮した。一生懸命、働いたから報われたのさ。ただ、戦いはまだ続くので、まずは今日の疲れを癒すことが重要だ」(アラフィリップ)

 しかし、総合優勝への道はそう簡単ではない。次の第15ステージ、ピレネー山脈最後の山岳ステージで、マイヨ・ジョーヌを着るアラフィリップは1分49秒遅れの11位に沈む。首位は守ったものの、他のライバルにグッと詰め寄られた。

 フランス勢の中で、この日も好調だったのがピノだ。残り7kmでピノがアタックすると、首位のアラフィリップも、総合2位のトーマスも、たまらず脱落した。

 もっとも苦しそうだったのは、前日に死力を尽くしたアラフィリップだ。ついに、ここで大幅に遅れをとる。前日までの貯金でなんとかマイヨ・ジョーヌを守ったが、表彰式ではこれまでのような笑顔は見られなかった。

「厳しい1日になることはわかっていた。最後まで全力を尽くしたが、今日は少しタイムを失うと覚悟はしていた。それでもマイヨ・ジョーヌを死守できてうれしいよ。夢はまだ続いている。最初から僕は優勝候補ではなかったし、さらに苦しい戦いはこれから待っていると思う」(アラフィリップ)

 その一方で、ピノが1分50秒遅れの総合4位まで浮上してきた。それまではフランス中がアラフィリップ優勝の可能性を期待していたが、わずか1日で主役の座はピノに移ったと言っていい。

 大会最終週は、総合優勝争いを決するアルプスの山岳ステージ。アラフィリップは依然リードを保つが、上りの強さを考えれば、絶好の位置につけるのはトーマス。そしてピノだ。

 アラフィリップは地元フランスの期待に応えることができるか。2位につけるトーマスの逆転連覇はあるのか。そして、4位に浮上してきたピノの走りは――。大本命不在でスタートした第106回ツール・ド・フランスは、最後まで目が離せない。

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