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ツール・ド・フランス開幕。
「100年目のマイヨ・ジョーヌ」は誰の手に? (2ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by A.S.O.

 ところが、である。フルームは6月12日、フランスで開催されていたクリテリウム・デュ・ドーフィネ第4ステージの試走中に壁に激突して、大腿骨などを骨折。ツール・ド・フランス欠場を余儀なくされたのである。

「あー。タイムマシンがあったら、あのクラッシュの前に戻りたいよ」

 フルームのツイートには、その無念が感じられる。

 正直なところ、所属チームは今季災難続きだ。

 2010年のチーム発足以来、ツール・ド・フランスで6度の総合優勝者を輩出してきたイギリスのチーム・スカイだが、スポンサーとなるテレビ局が撤退。それにより、5月からイギリスの大手化学企業イネオスの名称に変更することになった。

 直後に開幕を迎えたジロ・デ・イタリアでは、前年の覇者フルームがツール・ド・フランスに集中するために欠場。エースナンバーを22歳のエガン・ベルナル(コロンビア)に託した。

 ベルナルは2018年、ツール・ド・フランス初参加にして、しかもアシストに徹しながらも総合15位になった山岳スペシャリストだ。今季はパリ~ニースで総合優勝。ジロ・デ・イタリア初制覇の可能性も高いという前評判だった。

 だが、直前の練習で鎖骨骨折してしまう。現在はケガから回復し、しかもクリテリウム・デュ・ドーフィネで総合優勝を果たした。7月のツール・ド・フランスには、絶好調で乗り込んでくる。

 このクリテリウム・デュ・ドーフィネではトーマスも落車しているが、表向きは「大丈夫」とのことで、ツール・ド・フランスには連覇をかけて出場する方針だ。フルーム欠場でツートップ体制は取れなくなったが、戦略がシンプルになるだけに吉と出ることもある。

 ところがやっかいなのは、復調してきたベルナルの存在だ。ジロ・デ・イタリアに勝ってツール・ド・フランスは欠場、という筋書きが白紙になったからだ。

 トーマスとベルナルはホントに仲よくやれるのか? どちらもマイヨ・ジョーヌのチャンスがあるだけに、単純な物差しでは測れない。そしてライバル選手も、そのあたりの内部分裂を期待しているのではと思う。

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