反重力か。ボルダリングJCで
14歳・森秋彩のムーブに観客が大熱狂 (2ページ目)
決勝課題はどれも距離が遠かったり、パワーが求められたりする内容で、身長154cmの森にとっては厳しい結果が予想された。だが、そうした課題で"らしさ"を存分に発揮する。
身長164cmの野口や160cmの伊藤がその手足の長さ、パワーを生かしたムーブで問題を解消したのに対し、森は足を置く位置やホールドを持つ場所を工夫しながら、課題の核心部(課題のなかでもっとも難度の高い箇所)を攻略していった。
森が完登するたびに会場全体が大きく盛り上がる光景を、「体格的が不利なことへの判官びいき」と見る記者もいたが、満員の客席から何度も起こった驚嘆のどよめきや、割れんばかりの拍手の大きさは、観る者の想像を超えた次元にある「森のクライミング能力への賞賛」であったことは間違いない。
ただ、3課題を終えて3完登で1位に立った森も、4課題目は成長過程ゆえの弱点に泣いた。この課題はスタートのしゃがんだ体勢から後方上部のホールドに飛びつくランジ課題で、身長が160cmを超えて、肩から背中にかけての筋肉も発達している野口、伊藤、野中生萌(のなか・みほう)は完登した。だが、森は制限時間4分間で12回スタートを切ったものの、1手目のホールドに両指は触るものの、保持できずに終わった。
「ランジの技術や単純なジャンプ力や全身のパワーがまだ足りなかったと思います。去年も同じようなランジ課題で順位を落としてしまったので、今年はランジを練習してきた。来年こそはランジ課題も登りたいです」
前回大会の4位から初の表彰台となる2位にステップアップしながらも、「登れた決勝の3課題もオンサイトができなかったので悔しい」と今後の課題を口にする森だが、モチベーション面での収穫はあったようだ。
「2位という結果で自分の登りに自信がついたので、明日から練習のモチベーションも上がると思います。これからの練習は楽しみながらがんばっていきたいです」
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