朝青龍と白鵬が乾杯。断髪式で改めて感じた旭天鵬の「偉大さ」 (4ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 またこの日、イベント全体を通して存在感を示していたのが、横綱・白鵬だった。旭天鵬のために、あらゆる催し物を精力的にこなした。

 朝青龍と同様、白鵬もまた旭天鵬に憧れていたモンゴルの少年だったからだ。そして来日後、宮城野部屋に入門。まだ10代の白鵬が、旭天鵬所属の大島部屋に出稽古に行くと、必ず胸を出してくれたのも旭天鵬だった。

 以来、稽古場では四股、すり足、テッポウの基本運動を念入りに行なう旭天鵬のスタイルを、白鵬はずっと踏襲している。白鵬にとっても、旭天鵬は偉大なる先輩であり、かけがえのない存在なのだ。

「私にとって(旭天鵬関は)、力士の先輩であることはもちろん、私生活でも尊敬するアニキです」

 引退相撲を無事終えると、髪を整えた旭天鵬がスーツ姿となって、関係者によるパーティーが都内で行なわれた。当然その場にも、朝青龍と白鵬は顔を見せていた。しかし、ふたりは互いに接触を避けているようだった。

 朝青龍の引退後、白鵬が相撲界を引っ張り、その後、日馬富士、鶴竜というモンゴル出身の横綱が誕生した。けれども、朝青龍には、「モンゴル人で初めて横綱になったのは、俺」という強烈な自負がある。

 一方で、不祥事などで人気が低迷していた相撲界を白鵬がけん引。その大横綱の功績を尊重して、朝青龍は表舞台に出ることをあえて控えている。一部報道で、白鵬との不仲説が飛び交ったことには心を痛めていた。

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