【トライアスロン】小さな鉄人・上田藍が狙うリオの「金メダル」 (4ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 上田は今年10月、日本選手権を制した。4度目の優勝は女子では最多だ。来年3月からは、リオオリンピック代表選考対象となる国際大会が続き、上田は3度目のオリンピック出場、そしてメダルを狙う。今も自己ベストを更新し続け、世界を転戦するW杯、今年のメキシコ大会を制していることからも、その目標は絵空事ではない。

 ただ、国際大会となると155㎝の彼女の身長は、外国人選手と比べると頭ひとつ小さく、パワーではどうしても劣ってしまう。だが、その身長をデメリットどころか、彼女は「プラマイでプラスですね」と笑い飛ばす。

「だって、『小さくて大変なのにエライですね』って褒めてもらえるじゃないですか(笑)。それに、もちろん不利なこともあるけど、大きな選手は、その分体重が重いのでバイクやランの時、上りが得意じゃなかったりするんです。良い部分と悪い部分、誰しも持ってる。だから不利だとは思わない。それに私は、この身長で勝ってきているので、『背が低いから勝てないんだ......』って下を向いている小中高生に、『小さくても頑張れば勝てるんだよ!』って言えるのがうれしくて」

 彼女には好きな言葉がある。それは、プロ野球のロッテを31年ぶりの優勝に導くなどの経歴を持つ名将ボビー・バレンタインが発した言葉だ。

「『能力に限界はあるが、向上心に限界はない』。大好きな言葉です。私自身、『もっとできる。もっと、もっと』と思いながら今日までやってきた選手なんで」

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