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C・フルーム、ツール・ド・フランス制覇。勝敗を分けたものとは? (3ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki  photo by AFLO

 しかし、2015年は波乱が起こらなかった。記録的な猛暑に見舞われた今年のフランスは、ニーバリが得意とする泥沼の石畳にはならず、ドライな状況でアクシデントは発生しなかった。その後、ニーバリは最初の山岳区間となる第10ステージで大ブレーキを起こし、優勝争いから脱落。一方、暑さに強いフルームは常勝態勢を着々と築いていった。

 だが、あきらめなかったのがキンタナだ。2年前の大会で山岳賞新人賞を獲得して総合2位になったキンタナは、昨年、ジロ・デ・イタリアに集中するためにツールを回避していた。2年ぶりのツールとなるキンタナは、初の総合優勝を虎視眈々と狙っていたのである。

 アルプスを目前にしてフルームから3分10秒遅れの2位になったのも、平坦区間の第2ステージで横風によって集団が分断し、第2集団に取り残されてしまったため。山岳ステージに入れば、フルームと互角に渡り合える実力がある。

「勝負は勝つか負けるか、どちらかひとつだ」と逆転優勝をかけてキンタナは、最後2日間の山岳ステージで何度もアタックした。しかし、チーム・スカイのアシスト選手が遅れがちになったフルームを必死に牽引。結果、フルームがなんとか逃げ切り、マイヨ・ジョーヌを着てパリに凱旋することになった。

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