【大相撲】関脇・栃煌山の覚醒は、部屋の指導システムにあり!
大相撲7月(名古屋)場所は、横綱・白鵬(宮城野部屋)が14勝1敗で35回目の優勝を果たした。千秋楽の結びの一番で鶴竜(井筒部屋)との横綱決戦を制して、2場所ぶりの賜杯だった。今場所が2場所連続の休場明けとなった鶴竜も、場所前の不安を吹き飛ばす13勝2敗と充実。やはり、横綱が強いと場所が引き締まることを改めて示した15日間だった。
7月場所10日目、横綱・白鵬をはたき込 みで破った関脇・栃煌山
1998年以来、17年ぶりに15日間すべて満員御礼となった盛況の名古屋。土俵にさらなる活気を与えたのが、強い横綱2人に土を付けた関脇・栃煌山(春日野部屋)だ。9日目に鶴竜を一気に押し出すと、翌10日目には過去29回の対戦で1回しか勝っていない白鵬に思い切りのいいはたき込みで両手をつかせた。この時点で両横綱、新大関の照ノ富士(伊勢ヶ浜部屋)と優勝争いのトップに並び、何かに目覚めたかのような快進撃は、06年1月場所の栃東以来となる日本出身力士の優勝への期待も抱かせた。
終盤に失速し、結局10勝5敗に終わったが、12年9月場所以来2度目の殊勲賞に輝く活躍だった。そして、この28歳の関取が覚醒した裏側には、立ち合いの大胆な改造があった。
師匠の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)が経緯を明かす。「シンプルにした。考えないでシンプルにしろって、前から言ってきたんだけど、それがやっと身についてきた」。
これまで栃煌山の立ち合いは仕切り線から離れ、顔を上下動しリズムを取りながら、やや中腰気味で前ににじり出るように相手にぶつかっていた。これを「シンプル」に変えた。顔の上下動をなるべく抑え、にじり出るのではなく、腰をしっかり下ろして一気に踏み込むように改造したのだ。
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