【大相撲】怪物・逸ノ城が大関昇進のために今すべきこと

  • 福留崇広●文 text by Fukutome Takahiro
  • photo by Kyodo News

 逸ノ城(湊部屋)が苦しんでいる。関脇2場所目となった大相撲初場所、12日目を終えて、4勝8敗と負け越しが決まった。場所前は2けた以上の星をあげ、大関取りへの土台を築こうかと期待があっただけに、この成績はもの足りない。さらに勝った一番でも、精彩を欠く相撲内容に協会幹部からも厳しい声が上がっている。新入幕で13勝を挙げ「怪物出現」と脚光を浴びたのは、わずか2場所前の昨年秋。あれから4か月、逸ノ城に何が起きているのか。曲がり角に立った怪物の今に迫る。

初場所初日、逸ノ城(右)はいいところ なく、遠藤に敗れた初場所初日、逸ノ城(右)はいいところ なく、遠藤に敗れた

 次代のホープ対決と大きな注目を集めた初日の遠藤戦。逸ノ城は、何もできずに相手の突っ張りに後退した。場所前に4日間にわたり、出稽古で胸を合わせた両者。稽古の結果、攻略法を会得したのは遠藤だった。

 右差し、左上手が得意の逸ノ城。この形にさせては、ほぼ100%勝ち目はない。得意の形を封じても、まわしを取らせては、白星が遠のく。弱点は立ち合いの鈍い出足。とにかく、立ち合いで逸ノ城より早く踏み込んで低く当たる。そうすれば、202kgの巨体があだとなり、後退する。あとは、まわしを取らせず前に出て、時には横に動く。遠藤は、逸ノ城の左肩を狙い打ちして突っ張った。肩を押されると、まわしを取りに行く手が前に出なくなる。遠藤の理詰めの突っ張りに怪物は、必死で腕を伸ばすが、まわしには届かない。満員札止めの館内が期待した"お年玉"とも言えるホープ対決は、予想外のあっけない幕切れとなり、国技館はため息で包まれた。

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