潜入! 2020東京五輪の前線基地、ナショナルトレセン (4ページ目)
床だけはなく、他種目もいろんなメ-カ-の器械が揃っている。1台約20万円のロイタ-板という跳馬に使う踏み切りもアメリカ、日本、オランダのメ-カ-が揃っている。管理も徹底している。大会では、新品の踏み切りが使用されるのでバネが非常に硬い。みんなが練習するとバネが弛むので、練習場では試合に使う踏み切りは代表選手と強化選手という使用制限をかけている。これほどの規模で器械が揃っているのはNTC、コナミ、順天堂大学、日本体育大学、徳州会体操クラブだけだという。
あん馬の把手(ポメル)の形状や高さもメーカによって、違う!
素晴らしいのは、充実した施設だけではない。ここでは五輪や世界選手権に向けて個人総合王者の内村航平らが練習し、ジュニアの強化選手も一緒に練習している。ジュニアの選手たちが間近で世界最高の技やメンタルや練習方法など、いろんなものに触れることができるのだ。そうした練習環境が素晴らしいのもNTCの魅力のひとつだろう。それらが今、結果に結びついてきており、さらに2020年の東京五輪につづいていくことが理想だ。
「10月に行なわれた中国での世界選手権、男子団体で金は取れませんでしたけど、メダル常連国である中国の最大のライバルになった。この結果が示すようにこの設備が出来てから競技力が確実に向上しています。それをリオ五輪、そして東京五輪へと繋げていかないといけない。ただ、あと6年、内村が世界のトップでいられるかどうかは分からないですからね。この設備を活かして白井を始め、個人総合で金が取れる選手を育成していかないといけない。と同時に今、団体が重視されてきています。野々村笙吾、加藤凌平らように総合力があってあとひとつふたつ技に磨きをかけていく選手、白井のように床や跳馬という武器があってこれからが期待出来る選手、いろんなタイプの選手を競争させて国内の競争力を上げ、団体を狙えるチ-ムを作る。ハ-ド面においては常に主要大会の最新の器械器具を揃えていく。すでにリオ五輪の器械器具のメ-カ-は発表されています。ソフト、ハ-ドの両面の充実が2020年東京五輪の金メダルにつながっていくと思います」(立花泰則氏)
体操は、男子団体で1960年のロ-マ五輪から1976年のモントリオ-ル五輪まで5連覇を達成し、「お家芸」と呼ばれた時代の強さを取り戻しつつある。その「体操ニッポン」の復活と進化は、このNTCを抜きには語れないのである。
(つづく)
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