【フェンシング】宮脇花綸「チャンスを今後につなげて行きたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

10月特集 東京オリンピック 1964の栄光、2020の展望(15)

 2020年に東京五輪が決まり、各スポーツで若手の強化が盛んになっている。そんな中、東京五輪での活躍が期待される若手として、フェンシング界からは宮脇花綸に注目してみた。

周りの人に恵まれて、ここまで成長させてもらっていると語った宮脇花綸周りの人に恵まれて、ここまで成長させてもらっていると語った宮脇花綸 今年8月(16日~28日)に中国・南京で行なわれたユース五輪(14歳~18歳の選手が出場)。同大会のフェンシング女子フルーレで銀メダルを獲得し、2020年東京五輪のメダル候補として一躍注目を集めた選手がいる。高校3年生の宮脇花綸(みやわき かりん・17歳)だ。

 昨年からシニアのナショナルチーム入りをし、グランプリや世界選手権に出場。さまざまな舞台で経験を積み、着実に力をつけてきた。今年4月の世界ジュニア・カデ選手権(ブルガリア)でも、カデ(18歳未満、以下U18)で8位、ジュニア(U20)では3位に入った。7月には、世界のトップ選手が集うシニアの世界選手権(ロシア)にも出場。昨年は団体戦のみの出場だったが、今年は個人戦にも出場し、日本勢でただひとりベスト32に進出。30位という結果を残した。その後、冒頭で記したとおり、ユース五輪で銀メダルを獲得。9月のアジア大会ではフルーレ団体で銅メダルを手にして、個人戦でも準々決勝進出を果たした。

 圧巻だったのは、その個人戦の準々決勝である。惜しくも敗れたが、優勝した韓国のチョン・ヒスク(世界ランキング8位)相手に激戦を演じたのだ。

 フェンシングは、1ラウンド3分間の勝負を3ラウンド行なって、どちらかの選手が15点を先取すれば、たとえ1ラウンドでもその時点で試合は決着する。逆に、3ラウンドを消化してどちらの選手も15点に満たなければ、その時点でリードしていたほうが勝者となる。「私は、そんなにアタックでポイントを取るタイプではありません。ゆっくり、ゆっくりと(ゲームを)組み立てて、3ラウンドまでもつれさせる戦いを得意としています」という宮脇は、格上の相手をロースコアゲームに誘い込んだ。そして、3ラウンドを終えて11対11として、延長戦での一本勝負(先にポイントを取ったほうが勝ち)という展開にまで持ち込んだのだった。

「(チョン・ヒスクと戦った)準々決勝では、途中から流れがすごくよくなったんです。それで、一時はリードすることができたんですが......。ユース五輪決勝と同じように、リードしていたのに(終盤に)まくられて負けてしまいました。ただ、これまで遠いと思っていた世界のトップが近くに見えるようになったのが収穫でした」

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