2014.07.21

5度目のツール・ド・フランス参戦。新城幸也「自然体の走り」

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki 飯島美和●撮影 photo by Iijima Miwa

 世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスに新城幸也(あらしろ・ゆきや/29歳)が5度目の参戦を果たした。

 ツール・ド・フランスに日本人選手が出場したのは101回の歴史の中でも4人しかいなく(川室競、今中大介、新城幸也、別府史之)、その中でも全23日間を走りきって最終日のパリ・シャンゼリゼに凱旋したのは新城と、その新城とともに2009年に初参加した別府史之(ふみゆき)しかいない。

 驚くべきことに新城は過去出場した4回、すべて完走している。落車による負傷や不調の日もあったはずだが、なにごともなかったかのように満面の笑顔でシャンゼリゼにゴールしている。新城自身は常に「ツール・ド・フランスは特別な大会。沿道の観衆がこんなに多いレースはほかにないので、声援をもらって走ることがとてもうれしい」と、このレースにかける意気込みを語っている。

5回目となるツール・ド・フランスにリラックスして臨んでいる新城 5回目の参戦ともなると、まさに自然体だ。かつては日本人選手が欧州の伝統や文化の上に形成されてきたこの舞台を走ることは夢物語だった。ところが、ここ数年はもはや新城なきツール・ド・フランスはちょっと考えられない。それほどまでの存在となり、いまやツール・ド・フランスの申し子のようでもある。

 新城はずっと「ヨーロッパカー」というフランスの人気チームで走ってきた。2014年のツール・ド・フランスに起用された9選手は、新城以外は地元フランス勢だ。フランスではテレビで新城特集が報じられることもよくあり、すでにチームの顔でもあり、ファンのためにもスポンサーのためにも、新城を外すことは想定できなかった。

「チームの最年長じゃないですよ」とは言うものの、5回目の出場はチームメートの中でも経験豊富な選手になる。ヨーロッパのメジャーレースで戦ってきたキャリアを加えれば、十分過ぎるほどの戦歴があり、2014年のツール・ド・フランスでは、チームの中心的役割を与えられることになった。

「今シーズン、チームからはツール・ド・フランスを念頭に置いたレーススケジュールを提示され、早い時期から出場を示唆されていた。これまでのようにのびのびと自由に走ることはできないが、チームからの信頼に応えられるように、今までの経験を生かしたい」