【月刊・白鵬】横綱がメッシのMVPを喜んだワケ

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第40回:ブラジルW杯

ブラジルW杯ではアルゼンチン代表のメッシに注目していたという白鵬関。ブラジルW杯ではアルゼンチン代表のメッシに注目していたという白鵬関。大相撲は名古屋場所(7月場所)が始まり、
連日白熱した戦いが繰り広げられている。
その直前、横綱はサッカーのブラジルW杯を
熱心に観戦。日本代表に声援を送るとともに、
世界トップ選手のプレイを堪能したという。

 7月13日から大相撲名古屋場所(7月場所)が始まりました。

 先の夏場所(5月場所)で、私は29回目の優勝を果たしました。おかげで今場所前は、多くのメディア関係者をはじめ、ファンの方々から「横綱、いよいよ大台(優勝30回)が迫ってきましたね」と、何度となく言われました。

 確かにそうなんですが、私は優勝30回という数字をそれほど意識していません。もちろん、私が尊敬してやまない大鵬関が刻んだ、優勝回数歴代第1位となる32回、それに続く「小さな大横綱」と称された千代の富士関の31回という数字に近づいているな、という実感はあります。とはいえ、私はそうした数字を目標にして、相撲を取ってきたわけではありませんし、私の29回という優勝回数も、あくまでも白鵬という力士が土俵で積み重ねてきた結果というか、歴史であって、数字自体に大きな意味はありません。気づいてみたら「優勝29回かぁ......」という感じでしょうか。

 大切なことは、目の前の一番、一番を大事にすること。真摯に相撲に向き合っていくことだけです。今場所の2日目にも、私が大鵬関の幕内勝ち星数(746勝)を超えたという報道をしていただきましたが、そうした数字にも一喜一憂することはありません。私はこの場所も、そして先場所も変わりなく、自分のペースで体を作ってきました。そのうえで、場所中、全力で相撲を取っていくだけです。

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