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【月刊・白鵬】注目の9月場所。狙うは宮城野部屋の「2階級制覇」 (3ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 一方、ちょっと寂しい出来事もありました。先日、2001年春場所(3月場所)で初土俵を踏んだ同期生で、4月に現役引退を発表した元幕内・剣武の断髪式に臨みました。

 宮城野部屋に入門したとき、私はまだ14歳(初土俵の時は15歳)。体重が70kgそこそこしかなくて、まったくのペーペーでした。片や、剣武は日体大相撲部出身で22歳。その頃の私には、彼が「相撲界のエリート」に映りました。

 でも、そうじゃなかったんですね。彼は目のケガと手術を何度も繰り返して、ようやく十両の座をつかみました。そして昨年の九州場所(11月場所)、大卒力士の最スロー出世という記録で幕内昇進を果たしました。まさに、努力の人でした。

 同期生の髷(まげ)にハサミを入れたのは、初めてのこと。年は違っても、同じ時間を一緒に過ごしてきた仲間がいなくなるのは、本当に寂しい限りです。けれども、こういう日はいつかみんなに訪れます。それだけに、「今」という時間を大切にして、一生懸命がんばらばければいけないな、と改めて思いました。

 さて、肝心の私ですが、状態は悪くありません。場所前は時津風部屋や春日野部屋へ出稽古に行き、好感触を得ることができました。

 まずは綱獲りを目指す日馬富士の砦となり、「待った」をかけるのが、私の役目。それは、自分のためでもあり、相手のためでもあるんです。そのうえで、ここ2場所連続で賜杯を逃しているので、最大目標はやはり優勝です。稀勢の里や把瑠都ら大関陣も元気なので油断禁物ですが、十両の大喜鵬とともに宮城野部屋による「2階級制覇」ができれば最高なんですけどね。

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