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ヒロド歩美が見たフィギュアスケート新時代 中井亜美の強心臓と佐藤駿の変化に「衝撃を受けました」 (2ページ目)

  • 堤 美佳子●構成 text by Tsutsumi Mikako
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【これほどまでに人は変われるんだ......】

 男子では、3位となった佐藤駿選手の精神的な成長に衝撃を受けました。彼の演技の直前、会場はアメリカのイリア・マリニン選手(アメリカ)が見せた、フリーの世界最高得点という歴史的な演技で、異様なまでの興奮とどよめきに包まれていました。

 スタンディングオベーションが鳴りやまないなか、「この直後に滑るのは、いったいどんな気持ちなんだろう」と、勝手に自分に置き換えて緊張してしまったほどです。

 担当の記者に聞くと、佐藤選手は以前、本番でミスが出てしまうことも少なくなかったそうです。でも、そんな状況でリンクに立った彼は、みごとにノーミスの演技をやってのけた。本当にすごいな、と。

 試合後のインタビューで彼は、「(マリニン選手の高得点で)すごい盛り上がりだとわかっていたから、逆にそれを自分の力と自信に変えました」と話していました。今シーズン、彼は意識的にネガティブな思考を消し去り、ポジティブな言葉だけを自分にかけるようにしてきたそうなんです。

 そのきっかけとなったのが、ファンの間でも熱いリアクションで知られる日下匡力コーチの存在でした。日下コーチのおかげでポジティブになれた結果、GPシリーズの中国大会(2025年10月)でも2連覇を果たせた、と。

 ネガティブとポジティブ、その考え方を入れ替えるだけで、これほどまでに人は変われるんだということを、目の当たりにしました。スポーツは技術や美しさを競うものでありながら、メンタルの競技でもあるのだと、あらためて感じさせられましたね。

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