検索

千葉百音「弱さを認めてこそ強くなれる」 GPファイナルの「屈辱」バネに五輪代表かけた全日本へ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【一番の屈辱を感じた試合】

 翌日のフリー、他の選手の追い上げは強烈だった。2番滑走の坂本は合計得点を千葉の自己ベスト(217.23点/2025年スケートカナダ)を上回る218.80点にすると、中井亜美(TOKIOインカラミ)はそれを上回る220.89点に。さらに世界女王のアリサ・リュウ(アメリカ)は222.49点。千葉が1位になるにはフリーで145点台に乗せなければならない状況だった。

「いつもどおりに順位は気にせずにいけた」と滑り出した千葉は、最初の3回転フリップ+3回転トーループで加点をもらう着実なジャンプにしたが、続く3回転ループと3回転サルコウはともにダウングレードで転倒。これまでにないようなジャンプになった。

「ループとサルコウは、今までに感じたことがないぐらい足に力が入らなかった。すごく緊張はしましたが、体の状態は悪くなかったので自分の感覚の問題だと思います。6分間練習では感覚がよかったけど、それがゆえに自分で繊細に微調整しながら滑るっていう危機感が足りてなかったんだと思います」

 それでも、4本目のジャンプのダブルアクセルからはすべて加点を取るジャンプとし、ステップはレベル3だったがスピンはレベル4と、2度の転倒のあとは安定した滑りを見せた。結局、フリーの得点は132.95点にとどまり、合計は210.22点で5位という予想外の結果に終わった。フリー翌日に千葉はこう話した。

「フリーもコンディション的には悪くなかった。でも、緊張している自分が弱いと思ってそれを少し強がり、自分のなかで自覚しようとする姿勢から逃げてしまっていたというのが、今回は一番ぴったりと合う表現だと思います。緊張を自覚するということがいかに大事なことかというのがわかった試合。今シーズンで一番の屈辱を感じた試合で、だんだん消化できている感じだけど、自分の悔しさに浸っている段階でそれは甘えだと思うので、悔しい気持ちをしっかり自覚して、そのうえで自分の弱さに蓋をせずにやり通していきたいと思います。弱さを認めてこそ強くなれると思うので、二度と同じ悔しさを経験しないためにも心に刻んでいきたいです」

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る