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「リンクに立っていていいのか...」安藤美姫が苦境を乗り越え五輪で見せた心の成長「感謝の気持ちをこめて」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【スケーターとしてどうしていけばいいか...】

 しかし、ルッツやフリップの踏み切りや回転不足の判定が厳格化されていくなかで調子の波も大きくなっていった。

 2007−2008年はスケートアメリカ2位も、NHK杯4位で4年連続のGPファイナル進出を逃した。全日本選手権は、浅田に次ぐ2位だったが、フリーはISU非公認ながら自身初の200点超えとなる204.18点をマークした。

 だが世界選手権ではフリー当日に左ふくらはぎを痛め、2本目の3回転サルコウで転倒したあとに棄権。安藤は、「薬を飲んでいたので筋肉が動かなかったです。3本目のジャンプに行けず、無理だと思って止めました。ケガが多いし、スケーターとしてどうしていけばいいかを(コーチと)きちんと話したい......」と無念さをにじませながら話した。

 再び4回転サルコウに挑む意識を持った2008−2009年は、初戦のスケートアメリカの公式練習で4回転サルコウにトライしていたが、安藤の体調を考えたモロゾフコーチの進言で次戦の中国杯も含めて回避した。

 それでもともに表彰台に上がってGPファイナルへ進出し、そのフリーでは最初に予定していた連続ジャンプをやめて4回転サルコウに挑み、回転不足ながら着氷した。その後も回転不足を連発して最下位の総合6位だったが、安藤は「しばらく4回転を入れていなかったので、絶対にやりたいという気持ちがありました。ほかにも新しいジャンプのダブルアクセル+3回転トーループを入れて満足しています」と笑顔だった。

 しかしその後は4回転をまた封印。全日本選手権3位を経て臨んだ世界選手権は、合計190.38点で3位に。演技構成点はキム・ヨナに次ぐ全体2位の得点を獲得し、「自分の力を出すことに集中して終われました」と納得の表情を見せていた。

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