【フィギュア】鍵山優真の五輪へ「ふふふ。すでにいい計画がある」コーチのカロリーナ・コストナーが明かす「ユウマの過渡期」 (2ページ目)
【今、子どもから大人に変化していく時期】
ーーメンタル面については、鍵山選手自身が考え、悩み、解決すべきとおっしゃっていましたが、コストナーさんの経験談などは話すのでしょうか?
私と優真は、まったく違う環境で育ちましたが、アスリートとしては共通の点が多くあります。プレッシャーを感じる場面、フラストレーションを抱くのはいつか、大会への準備の仕方、目標、決断の仕方。そういった面で似ている部分がたくさんあるので、優真の話を聞いたり、私の経験を話したりすることで、発見も共感もあります。結果的に役に立てばいいと思っています。
ーー全日本王者として戦っていくことには、重圧や責任感があると思います。カロリーナさんは長年、イタリアをひとりで背負ってきた存在。そういった意味で、ナショナルチャンピオンのプレッシャーの扱い方を、どう考えていますか?
プレッシャーへの対応は、本当にその人の性格や考え方によって違うので、国のチャンピオンはこうするべき、という定義はありません。一方で、プレッシャーに対処するためのメソッドがあることもたしかです。ただ、優真は今季に全日本王者になったばかりで、国を背負う責任感のようなものが生まれてくるのはまだ先だと思います。
今季は、いい試合と悪い試合のアップダウンが激しかった分、フィードバックされるものがたくさんあります。どんな技術の時、どんな精神状態の時に、よかったのか悪かったのか。落ち着いて振り返ることで、全日本王者としてどんな戦い方をしたいのか、優真が気づくことができるでしょう。
ーー今季は、精神的に大きな成長になるシーズンだったということですね。
優真はまさに今、子どもから大人に変化していく時期です。優真は、技術面にしても、表現面にしても、自分で考えるようになってきました。成熟したスケーターになると、自分という存在感が生まれる。心が自然と「私はこんな存在、こういうことをやりたい」とアピールするようになる。その時に初めて責任感も生まれますし、表現面での深みも変わってくるのです。
優真は、非常に高度なテクニックを持つ、強靭なスケーターです。一方で、非常に創造的で芸術的な感情を持つスケーターとして育ってきています。今はまだ、この技術面と芸術面のバランスが取れていない時期なのです。
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