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世界フィギュアの男子展望 宇野昌磨、鍵山優真はマリニン「一強時代」の到来を阻止できるか (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【宇野昌磨は4回転サルコウ復活か】

 だが、宇野がGPファイナル後に「今シーズンならまだぎりぎり(マリニンと)勝負出来る」と話していたように、マリニンはまだ演技構成点は低く、かつてのネイサン・チェン(アメリカ)のような完成度の高さではない。そこをどうつくかで、宇野や鍵山に勝機が見えてくる可能性もある。

 宇野は、今季のフリーでは4回転ジャンプを4分の1の回転不足と判定されることも多く得点を伸ばしきれずに、ジャンプの構成も試合ごとに変え迷いを見せていた。

 宇野は昨季、自身のモチベーションをなかなか見つけられないなかでフリーの4回転5本構成をシーズン最後まで貫いた。一方、今季は高難度ジャンプより表現を重視すると公言。自身の気持ちを奮い立たせようとするための選択だった。

 今季、マリニンやアダム・シャオ イム ファ(フランス)がフィギュア男子の戦いを一気にハイレベルなものにした。さらに鍵山も復帰し、宇野は高いレベルの戦いのなかに身を置く楽しさを感じるとともに、自身のモチベーションの高まりに気がついたという。

 このままマリニンだけが進化し、「一強時代」をつくり上げれば、競技としての魅力も減少してしまう危惧も口にした宇野。「今ならまだ勝負できる」と発言したのは、現状のフリーで4回転4本の構成でもノーミスで滑りきればマリニンの自己最高得点の207点台のレベルにはたどり着けるという確信もあるからだ。

 SPでも今季は100点台で安定していてシーズンベストは106.02点。2022年世界選手権で出した自己最高の109.63点レベルまでプログラムを磨き上げていければ、SPでマリニンをリードする戦いができる。

 さらに、全日本選手権後に宇野は「マリニンくんは僕よりも得点が高い構成で安定感がとてつもなく高いので、本当に彼に勝つのはすごく難しいこと。でも僕自身も世界選手権に向けて、自分の最高のものを出せる調整をできたらと思っているし、ジャンプを限界まで挑戦するっていうのももちろん視野に入れて練習していこうと考えています」と語った。封印していた4回転サルコウを復活させた4回転5本構成の可能性も口にしている。

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