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世界フィギュアの男子展望 宇野昌磨、鍵山優真はマリニン「一強時代」の到来を阻止できるか (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【表現力を高めている鍵山優真】

 一方、鍵山はケガ明けの今季、4回転をSPでは1本、フリーでは2本に抑えてスタートした。シャオ イム ファとマリニンに敗れたGPシリーズ・フランス杯のあとはSPに4回転トーループ+3回転トーループを入れる2本構成とし、NHK杯では105.51点を獲得。100点台で安定した。

 そしてフリーは全日本選手権で、4回転2本構成をノーミスで滑って198.16点と200点台への手応えを確実にすると、世界選手権へ向けては「ケガをした足の不安はもうない」と、4回転フリップを入れた3本構成に挑戦。

 2月の四大陸選手権では、4回転フリップを新たに入れた。そのフリップはステップアウトで減点となったが、北京五輪以来の200点台に乗せる200.76点を獲得。合計は307.58点にして初優勝を果たしている。

 GPファイナルで鍵山は「自分の演技はGOE(出来ばえ点)を稼いでなんぼ。もっと追求していきたい」と課題を口にしていたが、GOE加点も冒頭の4回転サルコウが4.43点の加点だったのを筆頭に、成功したジャンプはジャッジのほとんどが3〜5点をつけて克服しつつある。

 四大陸選手権で鍵山は、4回転フリップが完璧なら、合計を310点台に乗せられる可能性が十分にあることを証明した。SPは2シーズン目のプログラムでカロリーナ・コストナーコーチのもとで表現力も高めている。

 宇野と鍵山が万全のコンディションで実力を発揮できるか。世界選手権男子の最大の注目点だ。

女子シングル編<世界フィギュアで日本勢は表彰台を独占できるか 坂本花織は絶対優位、千葉百音、吉田陽菜も可能性は十分>を読む

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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