伊藤みどりがフィギュアスケートの現状に「寂しく感じる」理由とは? 女子世界初のトリプルアクセルジャンパーが語るスケーター人生【2023年人気記事】 (4ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • 矢口 亨●撮影 photo by Yaguchi Toru

●「趣味はフィギュアスケートって素敵」

 自分が楽しむと同時に、大人がスケートを趣味として、生涯スポーツとして楽しむ世界を夢見ている。

「もっともっとフィギュアスケートが浸透して、子どもだけじゃなく大人も含めて身近なものになればいいな。見る人は増えたけど、自分でもやってみることでスケートの楽しさや難しさがもっとわかるようになると思うんです。

 やっぱりフィギュアスケートって習い事としてはとっつきにくい部分があるけれど、それがもっと身近になって、気軽にトライしてみようかなと思えるようになっていけばいいなと思います。

『趣味は何ですか?』と聞かれた時に、フィギュアスケートですって言えたら素敵じゃないですか。そんな時代が来たらいいですよね」

41歳で初めて出場した国際アダルトフィギュアスケート選手権 photo by Noguchi Yoshie41歳で初めて出場した国際アダルトフィギュアスケート選手権 photo by Noguchi Yoshie 最後に、これからのフィギュアスケートに思うことを聞いてみた。

「今、日本の選手たちはすごくレベルが高いですよね。日本で勝ったら世界で活躍できるというくらいすばらしいスケーターがたくさんいて、みんなライバルなんだけど仲良しで。

 競技ではあるんだけれども、みんなで切磋琢磨してこれからもフィギュアスケートが盛り上がっていけばいいなと思いますね」

インタビュー前編<天才ジャンパー伊藤みどりが53歳で国際大会出場へ「ダブルアクセルが跳べなくても氷の上なら人生を語れる」>

【プロフィール】
伊藤みどり いとう・みどり 
1969年、愛知県生まれ。6歳からフィギュアスケートの競技会への参加を開始し、小学4年の時、全日本ジュニア選手権で優勝し、シニアの全日本選手権で3位。1985年の全日本選手権で初優勝し、以後8連覇。1988年カルガリー五輪で5位入賞。同年には女子選手として初めてトリプルアクセルを成功させる。1989年、世界選手権で日本人初の金メダルを獲得。1992年アルベールビル五輪で銀メダルを獲得後、プロスケーターに転向。その後、アマチュアに復帰し1996年の全日本選手権で9回目の優勝を果たしたのち引退。現在は、指導や普及に努めている。

著者プロフィール

  • 山本夢子

    山本夢子 (やまもと・ゆめこ)

    スポーツライター。青森県八戸市出身。5歳からフィギュアスケートを習い始め、高校卒業まで選手として各大会に参加。その後、渡米し大学を卒業、就職。帰国後は、コピーライターとして広告制作に携わる。2005年からフリーランス。現在はライターとしてフィギュアスケートの専門誌を中心に執筆中。

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