羽生結弦「もっと強くなれると思う」単独ツアー『RE_PRAY』に込めた祈り「皆さん生きてください」
【五輪を獲ったような達成感】
昨年11月の埼玉公演から今年1月の佐賀公演を経て、2月19日に最終の横浜公演が行なわれた『Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd "RE_PRAY" TOUR』。
千秋楽の横浜公演に登場した羽生結弦この記事に関連する写真を見る 最後の場内あいさつで「さみしい」という言葉を口にした羽生結弦は、胸中をこう説明した。
「完結できたなっていうくらいの達成感があったので。皆さんにとってはイメージがしづらいかもしれないですけど、ある意味、自分のなかでは『オリンピックを獲った』くらいの勢いで(笑)。めちゃくちゃ練習してきたことが達成できた。だからこそうれしいし、そのうれしさとともにさみしさが一緒に募ってきたというか。達成してしまったなあ、みたいな感覚で、少しさみしいなとも思いました」
横浜公演に対する思いは強かった。それは前回の佐賀公演に理由がある。羽生は「あまりにも悔しくて。現役時代にGP(グランプリ)シリーズ第1戦のスケートカナダで惨敗した時のような感じだった」と佐賀公演を振り返る。
「ツアーということで、回を重ねるごとにいろんな課題が見つかったり、達成できたものが見つかったり、毎回進化すべきところが見つかっていく。だからある意味、とくに前半のパートですけど、競技者として戦っていくような、過去の自分をどうやって乗り越えていくのか、強くなっていくのか、ということを常に考えて、本当にストイックに自分を追い込みながら練習をしてこられた横浜公演だったなと思っています」
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著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。