高橋大輔のパイオニアとしての熱量がほとばしる アイスショー『滑走屋』に込めた思い

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「滑走屋」のゲネプロに登場した高橋大輔「滑走屋」のゲネプロに登場した高橋大輔 2月9日、オーヴィジョンアイスアリーナ福岡。夜のとばりが落ち、アイスショー『滑走屋』のゲネプロ(通し稽古)が行なわれている。宣伝ポスターに「新感覚」と銘打たれていたが、まさに先入観を打ち破る作品だった。

【常識をくつがえすパイオニア】

 14分間5曲のオープニング、冒頭から破天荒である。

 青や赤やオレンジのライトが混ざり合い、リンクは幻想的な世界に。全員のスケーターが真っ黒な衣装に身を包んで、鍛えた体をしなやかに弾ませ、ひとつに集まっては飛び散るように跳ね上がる。鼓動で脈を打つような音に合わせ、ひとつひとつの細胞が激しくうごめくようで、それぞれが重なり合って生命力を漲らせた。

 そこから約75分間、怒涛の疾走劇だった。

「(ゲネプロでは)まだまだ課題はあるんですが、大人数で滑るのにこだわってつくりました。スケートのスピード感、力強さ、曲の展開。そこを軸に置いて75分間、面白いものができあがってきたなって思います」

 今回のショーをプロデュースした高橋大輔は言う。フィギュアスケート界のパイオニアである彼らしい。再び常識をくつがえし、新たな世界の扉を開いたのだーー。

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プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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