本田真凜の無垢なスケート愛 引退を決めていた今シーズンも支え合った「同期との絆」 (4ページ目)
【好きなまま、引退できる】
「兄の太一が引退の年、今の私と同じ年で、やりきった表情をしていたんです。だから、自分もここまでやりきりたいって思いました。そのために、全日本に出続けるって決めて」
本田は言う。スケートを通じたさまざまな絆が、彼女のひそやかな決意になっていたのだ。
「(同期のスケート仲間とは)みんな小学校から一緒の幼馴染という感覚で。今シーズンで最後だよ、っていうのは知ってくれていて。最後の試合は体の状態がよくなかったけど、そのなかで頑張れたと思うし、(みんなと)支え合えたからこそで。スケートが好きなまま、引退できるんだと思います」
この記事に関連する写真を見る 今シーズンの東日本選手権、ギリギリの5位で全日本出場が決まった時の逸話は象徴的だ。フリースケーティングで最終滑走だった青木祐奈(日本大)は、自身の演技を直前に控えていたにもかかわらず、同期である本田の更衣室に駆けていった。
「(後続の結果で本田が全日本に)行けたよぉ!」青木は涙目で報告し、本田を祝福した。これからある自分の演技そっちのけで、同期の成功がうれしくてたまらなかったという。
「真凜ちゃんとは小さい頃から高め合ってきて。真凜ちゃんがいたから、表現のところにもフォーカスできました。彼女がいなかったら、今の私はいない、と思うほどで」
青木は笑顔でそう語っていた。
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