本田真凜の無垢なスケート愛 引退を決めていた今シーズンも支え合った「同期との絆」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 坂本 清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

【「爪痕を残したい」真凜少女の思い】

 1月11日、東京都内。本田の引退記者会見が行なわれている。昨年12月、全日本選手権がラストダンスになった。

 広間には100人程度の報道陣が詰めかけ、熱気が漂っていた。女性の司会者が本田のプロフィールを読み上げると、前の扉が開く。上下真っ白なスーツの本田が会場へ入ってきたところ、一斉にカメラのフラッシュがたかれた。

「どんな瞬間を振り返っても、すべての思い出にスケートがあります。長い競技生活、いい時もそうでない時も、たくさんの方に寄り添ってもらって幸せでした」

 本田は晴れやかな顔で言った。2歳からスケートを始めた彼女にとって、スケートは彼女の一部だ。

「お兄ちゃん(本田太一)には負けたくない、追いつきたい」

 その一心で最初は滑っていたという。きょうだい4人(太一、望結、紗来)で切磋琢磨。京都の大会できょうだいそろって優勝したのは、最高の思い出だ。

 体操、水泳、テニス、ピアノなど多くの習い事のひとつでしかなかったスケートだが、次第に特別になっていった。アイスリンクが夏の間にプールに変わったり、あるいはつぶれてしまったり、スケートだけは移動距離がどんどん長くなったという。それでも練習に通い、送り迎えしてくれる親のため、子どもながら「爪痕を残したい」と思ったという。

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