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山本草太「諦めにも近い日々」を越えて...激戦の全日本フィギュア男子で初表彰台「10回目で報われた」 (4ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【まだまだ成長している段階】

 全日本は10度目の出場になるが、次世代を担う存在と期待されながら、5位が最高だった。この日、過去の自分を超えた。

「毎年、全日本では悔しい思いをしてきました」

 山本は過去の無念さをなでるように言った。

「今シーズンも悔しい思いは多く、(グランプリシリーズ)中国杯もそうで、"悔しいポイント"が全日本までたまってきて、吹っ切れた諦めにも近い日々で。練習でやるべきことをやっても調子が上がらない、というのが続いて。それでも投げ出さず、その日やれることを続けた結果が、10回目の全日本で報われたんだと思います」

 今回、全日本では予想を上回る化学反応が起こった。それぞれの必死な演技が、お互いを高めた。

「まだまだ成長している段階」

 そう語る山本は、全日本の気運を味方に目標のひとつをやり遂げ、先を見据えていた。

「表彰台を目標に掲げてきましたけど、ここがゴールではありません。まだまだこれから。4回転の種類を増やし、表現も(高めていけるように)。みんなと一緒に試合や練習をやることで僕も成長できますし、(もっと)遠くまでいけるように頑張っていけたらと思います」

山本は、2024年1月30日開幕の四大陸選手権出場選手に選出されている。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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