振付師ブノワ・リショーが考える、日本フィギュアスケート界がさらに飛躍するために必要なこと (3ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文text by Shiratori Junichi

【夢を叶えるために必要なこと】

―――2023-24年シーズンが幕を開けましたが、ブノワさんの今後の抱負を聞かせてください。

「今季は男子シングルの織田信成選手と三浦佳生選手の振り付けを担当することになったので、両選手のプログラムをブラッシュアップし続けていきたいと思います。そして、今後は日本でのチャリティー・プロジェクトやレッスンイベントの実施も考えていますので、ぜひそちらも楽しみにしていてください」

―――日本ではどのような活動を予定されているのでしょうか?

「さまざまなスケーターの振り付けを手掛けるだけではなく、日本人スケーターとの仕事を通じて、メンタリティの進化をお手伝いできないかなと思っています。スケーティングの技術を磨くことで、自然と感情が湧き上がってくるような滑りに磨きをかけたり、日本で活動するスケーターの成長をさまざまな形でサポートさせてもらえたらなと考えているところです」

――最後になりますが、ファンのみなさんへのメッセージをお願い致します。

「夢を叶えるために一番必要なことは、『自分自身を信じること』だと思います。もちろん簡単なことではありません。毎日少しでもいいので、自分の夢、なりたいもの、やりたいことなどをイメージして、思い描いてみるだけでもいいと思います。そうして自分を信じ、進んでいけば、夢には必ず近づいていけると思っています。夢を描くことを、やめないでください。

『バカらしい』とか、『どうせできないから無駄だ』と思わないでください。うまくいかない場面に遭遇しても、それは陽が射す前の雨のようなもの。悲しかったり不快になったりフラストレーションを感じるような時間も、陽射しをもらうためのギフトだと思って、難しい問題に直面する時こそ、自分の持てる力を発揮できる機会だと思うようにしてください。

 それから、自分がひとりだとは思わないでください。孤独を感じた時は、外に出てもいいし、好きな本を読んでもいい。何をしてもいいけれど、ひとりだとは思わないでください。陽射しは必ず降り注ぐし、すべて大丈夫と思える時は来る。それを信じて、夢を描いていってください」

【プロフィール】
ブノワ・リショー

1988年1月16日生まれ。フランス出身。アイスダンスのフィギュアスケーターとして活躍し、2009年に現役を引退後、音楽や衣装デザインなどに携わる。その後、デニス・ヴァシリエフス(ラトビア)からの依頼をきっかけに、2014-15シーズンに振付師としてフィギュアスケート界に復帰。2017-18シーズンから坂本花織の振り付けを5年間、2018-19年シーズンには髙橋大輔の振り付けを担当した。今季は織田信成と三浦佳生の振り付けを担当する。

【クレジット】

写真:@peak-ice.com

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