高橋大輔には「競技を続けてほしかった」振付師ブノワ・リショーも驚いたアイスダンス転向後の成長スピード (2ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文text by Shiratori Junichi

――昨季を振り返って、参加年齢の引き上げに伴う変化はありましたか?

「参加年齢が引き上げからまだあまり時が経っていないので、この質問にお答えするのは時期尚早かと思います。ただ、今の時点で確実に言えることとしては、シニアの年齢が上がったことにより、ジュニア世代の選手たちは『成長するために必要な時間をかけられるようになった』ということ。これまでは15歳でシニアに上がるために、急いで仕上げて"おざなり"になっていたような部分に関しても、じっくりと時間をかけて練習しスキルを上げることができるようになるでしょう」

――昨季のブノワさんは、ブレイディ・テネル選手 (女子シングル・アメリカ)と、アダム・シャオ・イム・ファ選手(男子シングル・フランス)の振り付けを担当されました。怪我からの復活を果たしたテネル選手は全米選手権2位。一方のアダム選手は、昨年11月のフランス杯や欧州選手権で優勝を手にするなど、輝かしい実績を残しましたね。

「私が振り付けをサポートしたおかげで、2人はいい結果が残せましたね(笑)。アダムとテネルの両選手に関しては、それぞれの性格や個性を深く理解していますので、私のスタイルよりも、彼らの"個"が引き立つようなプログラムとなるように心がけました。『何を、いつ、どのように実行したらいい成績を収められるのか』を考えながら、綿密な計画を実行していったことが、両選手の好結果に繋がったのではないかと思います」

【高橋大輔の現役引退に思うこと】

坂本花織や高橋大輔などの振り付けを担当したブノワ・リショー氏 photo by peak-ice坂本花織や高橋大輔などの振り付けを担当したブノワ・リショー氏 photo by peak-iceこの記事に関連する写真を見る――今年5月には、高橋大輔選手の2度目の現役引退が発表されました。ブノワさんは高橋選手が32歳で現役復帰を果たした2018-2019年シーズンに『Pale Green Ghosts』(FS)の振り付けを担当されましたが、今回の引退発表をどのように受け取りましたか?

「世界選手権を終えてすぐのタイミングだったので、引退の一報を聞いた時は、正直に言って驚きましたし、やっぱり悲しかったです。

 村元哉中選手・高橋大輔選手(かなだい)ペアのプログラムには、これからもどんどん進化する可能性を感じていましたから。個人的には、日本のスケート界のためにも『彼らに競技を続けてほしいな』と思っていましたし、2人の演技を楽しみにしてきたので、引退すると聞いた時には複雑な気持ちになりました。

 でも、もしかしたら今後また競技に戻ってきてくれることもあるかもしれませんから、とりあえず今は引退を決めた2人の決断を受け入れつつ、今後の行く末を見守りたいと思っています」

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