高橋大輔から坂本花織ら次世代へ受け継がれる日本フィギュアスケートの「滑る」伝統 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

●「滑る」で「日本人初」を連発した高橋大輔

 世界のフィギュアスケート史上、「もっとも滑れる選手」のひとりに、高橋大輔の名前が挙げられる。

 高橋は日本の男子フィギュアスケートのパイオニアのひとりと言えるだろう。先人たちがつくってきた道を大きく広げ、人気スポーツのひとつに押し上げた。そのおかげで、日本フィギュアスケート界は新時代を迎えている。

7月下旬、『THE ICE 2023』愛知公演に出演した高橋大輔と村本哉中 ©︎THE ICE 20237月下旬、『THE ICE 2023』愛知公演に出演した高橋大輔と村本哉中 ©︎THE ICE 2023この記事に関連する写真を見る「世界一のステップ」。海外のメディアから絶賛されたスケーティングは、ひとつの伝説だ。

 2010年バンクーバー五輪では日本男子初のメダリストになり、同年の世界選手権では日本男子で初めて優勝を遂げた。2012年のグランプリ(GP)ファイナルでも、日本男子で初めて頂点に立った。「日本人初」の金字塔を立て続けに打ち立てた。

 全日本選手権では6度の優勝で、10度も表彰台に上がった。2018年には4年ぶりの復帰で、全日本で2位になっている。記録も記憶も残した「不世出の選手」と言えるだろう。

 そして、そのキャリアはシングルに収まらない。アイスダンスに転向し、村元哉中と3シーズンに渡って「超進化」を遂げた。識者たちの予想も華麗に覆していった。全日本選手権で優勝、世界選手権でも11位とトップテンにあと一歩まで迫ったのだ。

 その原動力となったのは、何より「フィギュアスケートの申し子」と言えるスケーティングの技量にあった。

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