村主章枝はフィギュアスケートの現行ルールを疑問視「ジャンプの技術は上がったけどプログラムとして面白いかというと...」 (4ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamaoto Yumeko
  • 田上浩一●撮影 photo by Tanoue Kouichi

●フィギュアスケートは「ハート」

ーー村主さんの理想のフィギュアスケートとはどういうものですか?

 やっぱりハートじゃないですかね。心を動かされるもの。楽しいとか悲しいとか、一生懸命私の人生を生きようじゃないですけど、そういうきっかけになるようなエンターテインメントをつくるのが私の人生の目標です。

 それはスケートかもしれないし、映画かもしれないし、また他のものかもしれないけれど手法が違うだけで、根幹は変わっていないですね。

この記事に関連する写真を見るーー村主さんが見て目を引く選手はいますか?

(即答で)ジェイソン・ブラウン選手。斬新ですし、音楽の解釈もダントツで、彼の世界観がある。世界観を伝えるのってすごく難しくて。映画でもそうですけど、たとえば、『アバター』の新作とかあるじゃないですか。

 映画に携わるようになって最後のエンドロールまで見るようになったんですけど、ほぼ1曲分ずーっとエンドロールがあるんですよ。全部に関わっていないにしても、世界観を共有してそのすべての人が何年も動くわけじゃないですか。その力がすごいなと思って。

 今やっているプロジェクトでも、私が言ってもそれぞれ捉える意味が違ったりするんです。それを一緒の船に乗って一緒の方向に進ませるのがすごく難しくて。自分の世界観があってそれを唯一無二の作品にできるというのは、自然にやっているのかどうかはわからないですけどすごいなと思います。だから見ていて面白いですよね。

ーーブラウン選手の伝える力はどういうところから来ていると思いますか?

 小さい時の環境とかご両親や関わってきた方たちの影響が大きいんじゃないですかね。それは私も同じで、もしアラスカに住んでいた頃に遊びでスケートを始めていなかったら、芸術的なものを見てもそこに対する感性みたいなものはなかったと思うんです。

 アラスカにいた時に大自然のなかで両親ができる限りの経験をさせようといろんなところに連れて行ってくれて、流氷やクジラを見に行ったり、犬ぞりや魚釣りを経験したり、いろんなことをやって。そこで感性が育った感じがしましたね。そういった経験がスケートにも活きてくるんだと思います。

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