天才ジャンパー伊藤みどりが53歳で国際大会出場へ「ダブルアクセルが跳べなくても氷の上なら人生を語れる」 (2ページ目)
●53歳の挑戦「言葉はいらない」
「滑ることが好き」という気持ちに気づいたのは、コロナ禍でスケートから離れた時間だった。
この記事に関連する写真を見る「自粛して、氷から離れていた日々はやっぱりどこかつまらない。でも、その時間が身体のあちこちにあった痛みを癒してくれたんです。
健康で、痛みがなく、元気に滑れるという喜びが今は一番あって。それもあって、ドイツにまた行こうか!という気持ちが戻ってきたんです」
ドイツというのは、ISU(国際スケート連盟)が開催している国際アダルトフィギュアスケート選手権のことだ。
41歳の時、初めて出場した国際アダルトフィギュアスケート選手権 photo by Noguchi Yoshieこの記事に関連する写真を見る 伊藤さんは2011年以来、毎年とはいかないが数回、その大会に出場してきた。10代、20代、30代とそれぞれスケートとの向き合い方は変化してきたが、40代で出会ったこの大会は、伊藤さんのスケート観を大きく変えることになった。
「コロナが流行する前に出た大会(2019年)では、以前は跳べていたダブルアクセルが跳べなくて。もう絶対ドイツなんか行きたくない!と思ったんですけど(笑)。
こうして元気になったらまたやってみたいなと思うようになってきて、今年5月に開催される国際アダルト大会に出場することを決めました。ダブルアクセルが跳べなくても、スケートで自分を表現してみたい。
小さい頃からいた氷の上で、言葉ではなく、身体を使って伝えたい。スケートがあれば言葉なんていらないんですよ。スケートって、滑りで何かを伝えることができるから。
アダルトの大会は、氷の上で思いや人生を語ることができる、感じることができるところが魅力的だなと思うんです。自分もそういうふうに見てもらえたらなと思いながら滑っています」
43歳で出場した大会ではダブルアクセルを成功 photo by Noguchi Yoshieこの記事に関連する写真を見る 53歳で再び大会出場を目指す伊藤さんは徐々に感覚を取り戻し、今年1月にはシングルアクセルも着氷。その様子を動画でSNSにアップすると世界中から反響が寄せられた。
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