坂本花織のスケーティングがさらにスピードアップで「4年前のリベンジを」 メダル争いの行方は? (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【トリプルアクセルに挑む渡辺倫果】

「練習ではSPもフリーもノーミスする演技が多かったので、ノーミス演技を試合でもすることができたらいいです。4年前の世界選手権ですごく悔しい思いをしたので、同じ場所で同じ大会でリベンジをしたいです。とにかくSPもフリーもパーフェクトな演技をして、表彰台に乗ることが、リベンジになると思います」
 
 ひと皮むけた大人のスケーターに成長した22歳が、今季の集大成をどんな演技で見せてくれるか楽しみだ。

 その坂本と同門で、1歳上の三原は、持病から体調の回復が見られた今季、飛躍のシーズンを過ごしてきた。ただひとりGPシリーズで2連勝を挙げ、GPファイナルでは初出場初優勝を飾って、くすぶってきた真価がついに花開いた。2度の休養もあったが、たゆまぬ努力とスケートが好きという強い思いが競技復帰を実現させ、滑る喜びと感謝の気持ちで演技をする姿が印象的だった。シニアデビューした2017年大会以来、6年ぶり2度目の出場に向けて三原は、いつものように周囲への感謝を口にした。

「今シーズン戦ってきたプログラムの集大成になるシーズン後半の試合なので、今まで『こうしたい』という課題を全部克服して完成度を上げて練習してきました。自分らしく最初から最後まで集中して、世界選手権という舞台を全力で楽しんで笑顔で滑りたいです」
 
 今大会でトリプルアクセルを跳ぶのは、ここまで名前を挙げてきたトップ選手のなかでは渡辺ただひとり。ハイリスクハイリターンのジャンプであることは言うまでもないが、女子でこのジャンプを跳ぶ意味は大きい。プログラムに組み込むことで、演技内容が華やかになり、勝負の行方を左右する"起爆剤"になる。

「すごく楽しみな気持ちがほとんどですけど、そのなかでもしっかり緊張感を持って練習に取り組んできたと思っているので、この大会にこれた喜びをかみ締めつつ、落ち着いてできればいいんじゃないかなと思っています。トリプルアクセルにこだわり、他のジャンプでミスをしないことが目標です。特に、大技を組み込むSPではミスは許されないので、自分を見失わずに落ち着いて演技を揃えたいです」(渡辺)

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