検索

三原舞依が「自分の人生を表している」プログラムで挑む世界フィギュア。「自分の底力を、マックスの演技を見せられるように」 (4ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Kyodo News

 今シーズン、三原は『戦場のメリークリスマス』で10試合以上を戦い、ジャンプ、スピン、ステップ、コレオとあらゆる角度から演技を研ぎ澄ませてきた。

 試合ごとに課題を見つけ、それを順次クリア。連戦を戦うことで、プログラムの精度を上げてきた。

 振付師のデヴィッド・ウィルソンと切磋琢磨してきた成果だろう。

 愛おしくなるような優しさや希望だけでない。慟哭(どうこく)するような切なさや激しさも身につけた。つなぎで空間を表現できるように工夫。表情を細かく整理した。

 また、フリースケーティングの『恋は魔術師』も自分のものにしつつある。

「力強いところは力強く、優しいところは優しく。コントラストをつけながら滑りたいです」

 プログラムの完璧性を高めるため、黒髪にも赤色を入れた。衣装も赤で、スペイン・アンダルシアの激情を表すためだという。

「(来季のプログラムは)変えると思います」

 三原は言ったが、だからこそ、すべてをかけるつもりだ。

「試合の日は、もっと緊張するかもしれません。でも、自分らしく最初から最後まで集中して滑りたいです。世界選手権という舞台を楽しんで、笑顔で終えられるように。1秒1秒、全力で」

 氷の上に立った三原は、瞬間にすべてを捧げる。

 3月22日、女子シングルSP。同じ演技は二度とない。三原は6年ぶりに世界選手権の舞台に立つーー。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

フォトギャラリーを見る

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る