三原舞依が「自分の人生を表している」プログラムで挑む世界フィギュア。「自分の底力を、マックスの演技を見せられるように」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Kyodo News

 6年ぶりの世界選手権となる三原は、「指先まで心を込めた」至高の演技を目指す。

 この日、メインリンクでの公式練習で、三原はショートプログラム(SP)の『戦場のメリークリスマス』を滑っている。

 曲かけ練習では、3本ともジャンプは回避した。会場のサイズ感、氷の状態、コースを確かめることに重きを置いたようだった

ーー楽しむと緊張の割合は?

 記者からそう訊ねられた三原は、毅然として答えている。

「100(%)楽しむで」

 言葉は柔和で穏やかだが、芯の強さが見える。そこに彼女の本質はあるのだろう。

「どんな状況であってもできるのが、トップアスリートで。自分の底力を、マックスの演技を見せられるように」

 それを信条にしている彼女は、天使の着ぐるみをかぶった剣豪のようである。刹那に生きると言うのか。

 いつも研鑽を積んで、自らを追い込んで力を引き出し、自身をアップデートさせてきた。

 そのおかげで、1シーズンを棒に振るような病気による困難を克服し、再び高く舞い上がることができたのだろう。

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