無良崇人が語る戦友・羽生結弦。「そのプロ活動は現役選手の刺激にもなる」 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao / Fantasy on Ice 2022

映像での練習公開は想像もしなかった

 実際に試合で4回転サルコウを成功させることはできなかったんですけど、そのイメージを持って練習していくなかで、そんなに多くは成功させられませんでしたが、何回も降りる形まで持っていけました。そしてこの時のアドバイスは、今、自分が教える立場になって、すごく生きたものになりました。自分が習得したことや技術を他の人に伝えることはなかなかないと思います。そういう話を彼が僕にしてくれたことはうれしかったし、感謝していることです。

 選手どうしはライバルになりがちですけど、すごく慕ってくれている感じもあり、羽生選手と一緒にスケートをやってきたことは、僕のなかでは財産になっています。

 今後はアイスショーにも取り組んでいくでしょう。(毎年6月の)「ファンタジー・オン・アイス」とは違う形のものをやるのかと思います。いろいろな場所を回ったりしながらアイスショーをしていくことは、彼の強みとして可能だと思います。きっといろいろなことを新しい発想でやってくれるんだろうなと期待しています。彼が持っている力をフルに使ってやれば、いろんなことができると思うんです。

 これからのプロ活動のなかで、YouTubeを活用して公開練習を見せていくというアイデアは想像もしていなかったので、すごいなと思いました(笑)。公開練習のライブ配信では、世界中の10万人を超える人たちが注目して見ていたそうですね。「SEIMEI」の曲を3回かけて3回目でノーミスするというのは、並の体力ではない。すごいなと思って見入ってしまいました。

 YouTubeでプロスケーターが練習を公開するということは初めてのことです。彼がこれまで極めてきたことを、どういう形でフィギュアスケートに対して返していけるかどうかを考えた時に、こういう公開の練習という形になったのかなと思います。公開練習を見ることに価値があるというのも、羽生選手があれだけ動けるからこそ成り立つことです。

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