宇野昌磨、自分磨きのシーズン。「これまではネイサン選手やユヅくんに勝ちたいと思ってやってきたけど...」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 6分間練習では決めた後半最初の4回転フリップは2回転になってしまったが、冷静にトリプルアクセル+ダブルアクセルを決めると、最後の4回転トーループには2回転トーループをつけ、こちらも予定どおりに連続ジャンプは2本にした。

 結果はGOEで2回転フリップが減点されただけで、193.80点を獲得し、4回転アクセルを含む4種類5本の4回転ジャンプに挑んだイリア・マリニン(アメリカ)を0.38点差で抑えて1位に。演技後の会見で宇野は「ルール変更もあるなか新プログラムをやってみて今の自分の位置を見つける試合でもあったが、演技の内容は妥当だったと思います」と振り返り、こう続けた。

「去年1年間『ボレロ』をやってきて、そこで培われた体力やジャンプ構成がちゃんと活きた初戦だったと思います。演技の動画を見直してみても、去年よりバテずに力強く滑ることができていたし、点数にも表れている。ステップはちょっとレベルを落としたが、難しくなったスピンはすべてレベル4をとれているので、ルール変更にも対応できている。

 後半のフリップのパンクは練習でもよくやっているので仕方ないけど、前半の4回転トーループ+3回転トーループは練習ではほぼ失敗していないので。試合での気持ちの変化なのか、これからの一番の課題です」

 昨季も4回転+3回転がなかなか跳べないことを悩んでいたが、宇野は「去年もフリーでは一度も入ったことがなかったし、ここ数年を見ても2019年の世界国別対抗戦くらい。試合になるとどうしても、自分のなかで難易度が上がった感じになってしまう」と言った。

「今シーズンからセカンドにアクセルを使えるようになったので、4回転+アクセルをやれば4回転+3回転をやらなくてもいいかもしれないが、練習でできている自分がなぜ試合ではできないのかというのを謎のままにするのではなく、その理由を追求して成長につなげなくてはいけないと思っています」

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