羽生結弦「自分のスケートを絶対に出しきる」。右足首に痛みも北京五輪で新しい世界を見せた (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

 そして、ステップシークエンスもレベル4でジャッジのGOE(出来ばえ点)加点は4〜5点のみが並ぶ完成された滑り。そのあとの4回転トーループ+3回転トーループと、4回転トーループ+1オイラー+3回転サルコウ、トリプルアクセルはそれぞれ2.44点と3.12点、3.20点の加点をもらうジャンプにした。

 ミスがあったことで演技構成点は「パフォーマンス」と「音楽の解釈」が8点台と伸びず、他の3項目も9点台前半に抑えられて90.44点と伸びなかったが、フリーの得点はネイサン・チェン(アメリカ)と鍵山優真に次ぐ3位の188.06点。SPとの合計は283.21点で、4位だった。

 演技終了後に羽生は約6秒間、そのまま天に向かって差し上げた両手を止め、そして右手で刀を腰に収めるような動作をした。羽生は「自分の魂を天に送るようなイメージが僕のなかにあるんです」と説明する。そして「最後に刀をしまうまでが、自分のプログラムのストーリーだったかなと思っていました」と。

 3度目の五輪を、「今回は挑戦しきった、自分のプライドを詰め込んだ五輪です」と言った羽生。挑み続けることに生きようとする強い意志を、存分に見せてくれる4位だった。

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