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宇野昌磨が全日本フィギュアSPで見せた「逃げない」生き方。「どの試合も成長できるように」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 宇野はケガを言い訳にせず、淡々と説明した。

「正直に言うと、僕はフリップではなくサルコウをやるか、悩んだんです。サルコウは右足を使わなくていいので。ホテルの部屋でステファン(・ランビエールコーチ)に相談した時、『君はどっちもできるよ』と言われて、迷ったんですが、できるならフリップだなって。そこで結論を出せて、迷いがなくなったんじゃないかと思っています」

 彼はおくさず、逃げなかった。克服して強くなる。不器用で、まっすぐだ。

 その勢いを駆って、宇野は4回転トーループ+2回転トーループも成功した。予定では2本目が3回転トーループだっただけに、構成を落とすことになったが、悪い出来ではない。つなぎは美しく隙がなく、猫のような柔らかさと鋭さのある体で躍動した。トリプルアクセルは着氷の流れまで白眉だった。最後は音を一つひとつ拾うようなステップとスピンを見せた。

【一貫して逃げない生き方】

 2018年の全日本選手権で直前にケガをした時も、宇野は一歩も引かなかった。周囲に棄権を打診されたにもかかわらず、それを振りきって、氷の上に立っている。そして、苛烈な演技で優勝した。

 「宇野昌磨の生き方はこうなんだ、っていう姿を見せたい」

 王者は、そう言ってのけていた。

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