宇野昌磨が全日本フィギュアSPで見せた「逃げない」生き方。「どの試合も成長できるように」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 彼の生き方は、終始一貫している。ひたすら逃げない。少々逃げてもいいのに、立ち向かう姿勢だ。

 今回も背水の覚悟で臨み、宇野は101.88点と2位につけている。真っ向勝負の結果だった。今シーズンはグランプリファイナリストになっているだけに、全日本で表彰台に上がったら、五輪出場は確定だろう。しかし、彼はそんな計算は毛頭ない。

「試合で(演技の時の)痛みはなくなっているので、どれだけ調子を戻せるか。フリーまでどう調整するかのところで、4回転フリップは(基礎点が1.1倍になる)後半から前半に跳ぶことになりそうですが、構成自体は変えずにいくと思います。1日空くので、今の自分のベストを見せられたら」

 宇野は「今」を積み上げる。

「自分にとっては、(挑戦の)過程が一番大事で。まとめにいかず、全力でやります。どの試合も成長できるように」

 フリーは、12月26日に行なわれる。『ボレロ』はその踊りが人々を魅了し、酒場が一体化し、大団円を迎える曲である。宇野は氷上で、その旋律を歓喜の物語に高められるか。

「逃げない」

 その果断さが、宇野昌磨だ。

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