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ショックだった鍵山優真を奮い立たせた父の言葉。イタリア杯でみごとな逆転優勝 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

「練習は十分積んできましたが、6分間練習で4回転サルコウのミスがあったので、またミスをしたらどうしようと考えてしまった。サルコウのミスのあと、4回転トーループは絶対に決めようと思ってミスをしてしまった。技術的なことではなく、気持ちでのミスだったと思います」

 囲み取材でこう話した鍵山だったが、その声には力がなかった。

 世界選手権2位という実績を持って臨む、シニアでの2シーズン目。鍵山はフリーを、4回転ループを入れた4回転3種類4本の構成にし、さらなる進化を目指した。今季についても「挑戦者として臨みたい」との気持ちは持っているが、シニア初シーズンで純粋に挑戦するだけだった昨季とは、心中も"実績"を残していることで違ってくる。ましてや北京五輪シーズンで、周囲も本番でのメダル獲得を期待するなか、当然、自分自身への期待も生まれてくるだろう。宇野昌磨が新たな挑戦を意識してから崩れたように、鍵山にもそんな危惧はあった。

 さらに鍵山が最終滑走者だった今回のSPは、前に滑った選手たちがすばらしい演技をしてきた。第2グループ2番滑走のチャ・ジュンファン(韓国)が4回転サルコウを決めて95.56点を出すと、そのあとのボーヤン・ジン(中国)は4回転ルッツ+3回転トーループと4回転トーループをきれいに決めるノーミスの滑りで97.89点を獲得。ダニエル・グラッスル(イタリア)も4回転ルッツを決めて95.67点と、ハイレベルの戦いになっていた。

「4回転をきれいに飛んでいる選手たちを見てやる気がわき、闘志が盛り上がっていた」という鍵山だが、そんな気持ちが見えないプレッシャーとなり、少し悪い方向へと向いてしまったのだろう。

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