ロシア女子、国別対抗戦でも異次元の強さ。「4回転は普通のこと」 (5ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 高橋 学●写真 photo by Takahashi Manabu

ーー来シーズンについては?

 そう訊かれた時の答えも彼女らしい。

「今は(フリーを控えて)目の前のプログラムだけに集中を」

 一戦必勝、すべてを出し切る決意が強さの根幹だ。

「今年、やって来たことだけでも大変なことで。納得できるプログラムにするために、最大限のトレーニングをしています。機械的に動くのではなくて、魂を込めた演技ができるように」

 その集大成か、フリーの演技は圧巻だった。

 冒頭、大技の4回転フリップは練習で転倒が続いていたが、意地で持ちこたえた。そこからはほぼ完全無欠だった。一つひとつのジャンプ、入り方も工夫が凝らされていて加点がついた。後半に入れた3回転ルッツ+3回転ループは出色。コンビネーションにトーループではなく、ループを入れて点数を稼ぐことは、トップを争う指標の一つになるかもしれない。

 スコアは160.58点、やはり1位だ。

「世界選手権後は、この大会があって緊張が続いていましたが、シーズンを戦い終えて喜びを感じられています」

 シェルバコワは10代らしい笑みを浮かべた。

「来季はすべてを取り入れていくつもりです。ジャンプ、振り付け、何でも挑戦し、"美しい絵"を提示できるように。プログラムを感じながら滑るつもりです」

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