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宮原知子、世界選手権SPは悔しい16位。巻き返して全日本の再現を狙う (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

 しかし、気落ちした様子はいっさい見せていない。体に染み込んだようなスケーティングで最後まで滑り切った。スピン、ステップとすべてレベル4を獲得。演技最後、残響に浸るように左腕を柔らかく差し伸ばし、情念を表現したが......。

 ジャンプのミスは、容赦なく響いた。59.99点は16位スタート。トップに20点以上も引き離されることになった。

「自分の演技が本番でできるようになるにはどうしたらいいか。それを一番に考えながら、(世界選手権まで)頑張ってきました。メンタルのところは、時期に関係なく、ずっと意識してやって来たところで。まだまだ、そうは簡単にいかないな、というのが悔しいところです」

 メンタルの強さについて問われた宮原は、率直にそう語っている。

 ただ、彼女はどんなに苦しくても自分に向き合える力がある。それは並外れた異能だ。弱さは少しも見えない。そもそも緊張に引きずられる選手が、全日本選手権を4連覇し、18年平昌五輪で4位と意地を見せられるか。女子フィギュアスケート界が紡いできた時代を継承してきた。並みの精神力ではない。

 昨年末の全日本選手権も、SPは苦戦した。3本目のジャンプの失敗が響き、6位スタートだった。その後、フリースケーティングで見事に挽回した。静謐さを凝縮したような演技を見せ、3位まで順位を上げたのだ。

ーー世界選手権、フリーでの課題は?

 そう問われた宮原は、簡潔に言った。

「フツーに、自分の滑りをするってことだと思います」

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