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宮原知子、世界選手権SPは悔しい16位。巻き返して全日本の再現を狙う (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

 すでに5度目の世界選手権出場となる。2015年には初出場で2位に輝き、18年にも3位で表彰台に立った。荒々しいまでのジャンプ全盛時代に突入するなか、たおやかに研ぎ澄まされたスケーティングで対抗し、氷の上で独自の世界観を作り出せる。

 その日も、宮原はスタートポジションに入ると、鳴り出したピアノの音をふわりと拾っている。『グシエンヌ第1番』は美しくも妖しげな音色を奏でる曲だが、その幻想的な情景が彼女の一挙手一投足を通して伝わった。振り上げた右肘の角度ひとつをとっても精密で、どれだけ練磨し続けてきた動きか。

 しかし冒頭のジャンプだった。予定していた3回転ルッツ+3回転トーループは、1本目で転倒。コンビネーションがつかない。

「自分で跳んだ感じは悪くなかったんですが......。外へはずれてしまったな、という印象です」

 宮原は、どうにか言葉を絞り出した。

 その後、入念に仕上げてきたダブルアクセルは成功している。そして最後のジャンプ、3回転ループにコンビネーションをつけようとリカバリーを狙ったが、1回転トーループが精一杯だった。

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